『医療保険制度』
我が国は世界に冠たる国民皆保険体制が確立されており、原則として、75歳未満の者は「国民健康保険」もしくは「社会保険」のいずれかの医療保険に加入しなければなりません。それぞれ主に市区町村等が管轄(平成30年4月から県に移管)する『国民健康保険被保険者証』もしくは各種団体が管掌する『健康保険被保険者証』が発行されています。また、満75歳の誕生日を迎えると、それまで加入していた「国民健康保険」や「社会保険」から切り離され「後期高齢者医療広域連合」が管轄する「後期高齢者医療制度」の枠組みに一括統合されすべての国民に対して『後期高齢者医療被保険者証』が交付されます。病気やけがの場合、これらの被保険者証を提示し安心して保険診療を受けることができます。
なお、満75歳未満であっても、「国民健康保険」に加入しておられる方で、満70歳の誕生日を迎えられた方には、『自己負担額が2割と明記された国民健康保険被保険者証』が交付されます。ただし、所得が多い方には『自己負担額が3割と明記された国民健康保険被保険者証』が交付されます。ちなみに、宇部市民にはそれまでの国民健康保険被保険者証に替えて、新たに『自己負担割合の明記された国民健康保険被保険者証』が1枚だけ交付されます。一方、70歳の誕生日を迎えられた山陽小野田市民の場合は今まで使用していた『国民健康保険被保険者証』に追加する形で新たにもう1枚『自己負担割合の明記された国民健康保険高齢受給者証』が交付されます。従って、山陽小野田市の満70歳から74歳までの方が医療機関を受診する際には『国民健康保険被保険者証』と『自己負担割合の明記された国民健康保険高齢受給者証』の2枚の証書を一緒に医療機関の窓口に提出することになります。このように、山口県での運用形態は市町により若干の差異があるようです。
同様に満70歳~74歳までの方で「社会保険」加入者も『自己負担割合の明記された健康保険被保険者証』を新たに受けることになります。前述の『国民健康保険』加入者に対する山陽小野田市の対応形式と同様に社会保険の場合も、加入している団体の多くは発行済みの『健康保険被保険者証』を回収せずに、新たにもう1枚『自己負担割合の明記された健康保険高齢受給者証』を追加発行するようです。その場合も医療機関を受診する際に『健康保険被保険者証』と『自己負担割合の明記された健康保険高齢受給者証』の2枚の証書を持参することになります。
「国民健康保険」、「社会保険」および「後期高齢者医療制度」で交付される被保険者証(『国民健康保険被保険者証』、『健康保険被保険者証』および『後期高齢者医療被保険者証』)は、発行されたその日から日本国内で保険診療を行っているすべての医療機関で利用することができます。
尚、当院で令和元年6月1日に開所した訪問看護ステーションによる訪問看護も利用することができます。
『介護保険制度』とその利用法
約半世紀前には65歳以上の高齢者は総人口の7%にすぎませんでしたが、今世紀半ばまでに総人口の約40%が65歳以上になります。このように超高齢化社会を迎えるにあたり、介護保険の利用方法等や利用できる介護施設(表1)について熟知しておくことが非常に重要です。
急速な高齢化の進展に伴い介護を必要とする寝たきりや認知症の高齢者が増加してきており、今後も急速に増大することが見込まれています。また、介護負担の重度化や長期化が進んできており、一方では、介護を行う家族の高齢化、核家族化による高齢者との同居率の低下などの要因により、家族による介護では十分な対応が困難となっています。
こうしたことから、今日、介護問題が社会全体にとって、また、国民一人ひとりにとって老後生活の最大の不安要因となっています。介護を必要とする状態になっても自立生活を送ることができるよう、量的にも質的にも十分な介護サービスの基盤整備を進め、介護を社会全体で支える仕組みの確立が求められていました。
約半世紀前には65歳以上の高齢者は総人口の7%にすぎませんでしたが、今世紀半ばまでに総人口の約40%が65歳以上になります。このように超高齢化社会を迎えるにあたり、介護保険の利用方法等や利用できる介護施設(表1)について熟知しておくことが非常に重要です。
急速な高齢化の進展に伴い介護を必要とする寝たきりや認知症の高齢者が増加してきており、今後も急速に増大することが見込まれています。また、介護負担の重度化や長期化が進んできており、一方では、介護を行う家族の高齢化、核家族化による高齢者との同居率の低下などの要因により、家族による介護では十分な対応が困難となっています。
こうしたことから、今日、介護問題が社会全体にとって、また、国民一人ひとりにとって老後生活の最大の不安要因となっています。介護を必要とする状態になっても自立生活を送ることができるよう、量的にも質的にも十分な介護サービスの基盤整備を進め、介護を社会全体で支える仕組みの確立が求められていました。
このような背景を受け、平成12年(2000年)4月1日から要介護者を対象とした介護保険制度の運用が始まりました。原則として保険者は市町村で、65歳に達すると介護保険被保険者証が交付されます。この制度は、人生をよりよく生き抜くための保険制度で、完全に自立して生活できる間は使用することはできません。しかし、老いと共に一人では自立して生活することが困難になってくると、いずれはほとんどの国民が利用することになる福祉制度の一つです。
満65歳を迎えると市町村から『介護保険被保険者証』が交付されますが、注意しなければならないことは、そのままではすぐに利用することはできないということです。ここが、最初に述べた医療保険制度とは大きく異なる点です。利用するには、まず、要介護認定を受ける必要があります。『要支援1,2、もしくは要介護1~5のいずれかの判定結果が記載された介護保険被保険者証』を提示して初めて介護保険制度の利用が可能となるのです。
要介護認定を受けるには、まず、要介護認定申請をします。山陽小野田市の場合、65歳以上の方は65歳の誕生日を迎えるときに市町村から交付された『介護認定欄が未記載の介護保険被保険者証』を市役所(高齢福祉課)もしくは最寄りの各支所、山陽総合事務所(市民窓口課)へ持参して手続きをします。また、65歳未満の方でも、40歳以上で特定疾病(16種類:表2)に該当すれば『介護保険被保険者証』を利用することが可能です。この場合は、現在使用中の医療保険である『国民健康保険被保険者証』もしくは『健康保険被保険者証』を前述の関係窓口に持参し、所定の手続きを経たのちに『要介護認定結果の記載された介護保険被保険者証』を取得することになります。
利用できる施設等(表1)
この『要介護認定結果の記載された介護保険被保険者証』で利用できる山陽小野田市近隣(山陽小野田市、宇部市、美祢市)の代表的な介護保険施設は次表のとおりです。
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施設の種類
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入所基準
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施設数
|
床数
|
① |
養護老人ホーム(山陽小野田市の管轄)
・小野田老人ホーム (定員50名)
・養護老人ホーム 長生園(定員50名)
|
65歳以上の方で、身体上、
もしくは環境・経済的な理由
により、居宅において生活
の困難な方
|
2
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100
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② |
介護福祉施設(特別養護老人ホーム)
|
要介護3~5
|
25
|
1,339
|
③ |
介護老人保健施設
|
要介護1~5
|
10
|
790
|
④ |
介護療養型医療施設
|
要介護1~5
|
7
|
391
|
⑤ |
認知症対応型共同生活介護施設(グループホーム
|
要支援2、要介護1~5
|
34
|
504
|
⑥ |
特定施設入所者生活介護の指定を受けているケアハウス
|
要支援1・2、要介護1~5
|
6
|
210
|
⑦ |
軽費老人ホーム・ケアハウス
|
60歳以上で自立、要支援1・2、要介護1~5
|
5
|
250
|
⑧ |
特定施設入所者生活介護の指定を受けている有料老人ホーム
|
自立、要支援1・2、要介護1~5
|
5
|
242
|
⑨ |
サービス付き高齢者向け住宅
|
自立、要支援1・2、要介護1~5
|
40
|
929
|
⑩ |
有料老人ホーム(住宅型)
|
自立、要支援1・2、要介護1~5
|
40
|
895
|
⑪ |
短期入所生活介護事業所
|
要支援1・2、要介護1~5
|
23
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398
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介護保険制度における16種類の特定疾病について(表2)
65歳未満でも40歳以上の方であれば、『介護保険被保険者証』の利用が可能な特定疾病
(16種類)
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がん末期(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。)
筋萎縮性側索硬化症
後縦靭帯骨化症
骨折を伴う骨粗しょう症
多系統萎縮症
初老期における認知症(アルツハイマー病、脳血管性認知症等)
脊髄小脳変性症
脊柱管狭窄症
早老症(ウェルナー症候群等)
糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
脳血管疾患(脳出血、脳梗塞等)
進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
閉塞性動脈硬化症
関節リウマチ
慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎等)
両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
|
なお、これら施設の詳しい内容等については山口県介護保険情報総合ガイド「かいごへるぷやまぐち」をご覧ください。
①養護老人ホームは、表1の如く、入所基準は65歳以上の方で、身体上、もしくは環境・経済的な理由により、居宅において生活の困難な方となります。
低所得者の方でも入所可能な施設は、②の介護福祉施設(特別養護老人ホーム)、③の介護老人保健施設等です。一方、⑨のサービス(日に一回の安否確認)付き高齢者向け住宅は家賃および敷金、礼金が余分に発生し経済的な負担が大きいため個別に相談してみないと、入所が可能か否かは判断できません。
終身、入所できる施設は、①養護老人ホーム、②介護福祉施設(特別養護老人ホーム)、⑤認知症対応型共同生活介護施設(グループホーム)、⑨サービス付き高齢者向け住宅などで、③の介護老人保健施設は3か月間の入所が一つの目安になります。しかし、他の施設では対応できない医療行為を要する方は、この限りではありません。ただし、癌末期の方の場合は山口県には医療保険で入院できる緩和ケア病棟を兼ね備えた病院が4病院あり、そちらを利用される方が多いのが現状ですが、患者さんの状態によっては「あんじゅ」でも対応可能です。④の介護療養型医療施設は当院の12床も含めて7病院391病床ありますが、いずれすべての施設で介護医療院等へ転換される見込みです。
近年、最も注目を浴びる病態としては、認知症を合併されておられる場合には、⑤の認知症対応型共同生活介護施設(グループホーム)への入所や、③私どもの介護老人保険施設『あんじゅ』や②の特別養護老人ホームなどへの入所が推奨されます。ただし、重度の認知症で、徘徊等のために自立支援が困難な場合には、精神科病棟のある病院への入院や認知症に重点を置いた特別養護老人ホームなども考えられます。
また、在宅介護や在宅での療養をされている方は、介護保険での訪問看護も利用可能です。
相談窓口
当施設の在宅介護支援センター(電話:0836-88-4344 FAX:0836-88-4377)もしくは小野田赤十字老人保健施設『あんじゅ』(電話:0836-88-0222 FAX:0836-88-4392)の事務局で、御相談を承ります。
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