健診の知恵袋 |
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監修 健康管理センター 島袋 |
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骨密度のおはなし |
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骨量検査ともいいます。骨の密度から骨粗鬆症のリスクを調べます。
当院ではMD 法といって、手の指の骨をX 線撮影して骨量を測定します。
*基準値
20~40才の平均値(YAM)の80%以上
*異常値
80~70%の場合は減少。70%以下は骨粗鬆症と診断されます。
年齢が進むにつれ、骨密度は少なくなります。女性ホルモンのエストロゲンの低下は骨量減少の大きな要因です。閉経期の40~50才代から骨量が急激に減少する恐れがあります。女性の方は40才を過ぎたら、一度骨量測定をおすすめします。
若い女性でも、月経異常がある方、子宮や卵巣の手術を受けた方、また、男女を問わずステロイド剤・抗けいれん薬を長期間服用中の方、甲状腺や副甲状腺のホルモン異常・糖尿病の方は骨粗鬆症のリスクが高いので、早めに骨量測定をおすすめします。
異常の無い方でも、閉経を迎えた方はぜひ検査を受けてください。黄色信号と診断を受けた方は、食事・運動不足を改善する必要があります。カルシウムだけでなく、タンパク質、ビタミンD
を意識して毎日取るようにしましょう。
適度な運動も骨を強くするだけでなく、筋肉の強化や運動能力の維持や改善に役立ちます。
赤信号の方は、医師の治療を受けてください。
50代以上の方で異常なしと言われた方も、少なくとも3年後には再検査を受けてください。 |
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腫瘍マーカーのおはなし |
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種類 |
関連臓器 |
PSA |
前立腺 |
CEA |
胃・大腸・肺 |
AFP |
肝臓 |
CA19-9 |
胆のう・膵 |
SCC |
肺・頭頸部・子宮・食道 |
CA125 |
卵巣 |
Span-1 |
胆のう・膵 |
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体内に腫瘍ができると、健康な時にはほとんど見られない特殊な物質が、その腫瘍により大量に作られ、血中に出現してきます。この物質を「腫瘍マーカー」といいます。
腫瘍マーカーが、陽性だから「がん」というわけではありません。
がん以外の良性の疾患や加齢によって高値を示す場合もあります。
当院では念のため2次検査として関連臓器を検索することをすすめています。
しかし、CEA などは臓器特異性が低く、上記以外にも膵臓や乳がんでも高値を示すことがあり臓器を簡単に絞り込めない場合があります。
症状やリスク要因、血液検査やその他の検査結果なども併せて総合的に判断することが必要です。
腫瘍マーカーのみで、判断することはできません。時には経過観察を要することもあります。経時的に上昇する場合は精密検査を行います。 |
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胸部CT検査のおはなし |
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健診の胸部CT 検査が目的とするのは、ひとつは肺腫瘍の有無を確認することです。
胸部X 線写真だけでは、進行がんは見つかっても早期のがんを見つけるのは至難です。
肺がん患者の70%が喫煙者といわれているように、たばこを吸われている方は肺がんの高リスク者です。健診ではできるだけ早期に肺がんを見つけるために、喫煙指数※が600以上の方に胸部CTをすすめています。
胸部のCT 検査は約10分で済み、検査料は約5~6千円です。
愛煙家の方は、健診を機会にぜひ胸部のCT 検査を受けましょう。
※喫煙指数とは…1日の喫煙本数×禁煙年数 |
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ピロリ菌のおはなし |
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ピロリ菌は人の胃にしか住まない菌で、1982年に発見されました。
ピロリ菌の慢性感染で胃潰瘍・十二指腸潰瘍などがおきますが、日本人の感染率は約50%。高齢者で高く(50歳以上では70~80%)、40歳未満では低くなっています。経口感染が主な感染経路といわれています。
毎年、感染者の3~5%に胃潰瘍か十二指腸潰瘍が0.4~0.5%に胃がんが発症しています。
最近の研究から日本人の胃がんの発症に、ピロリ菌感染が大きく関わっていることがわかりました。
ピロリ菌の除菌には3種類の抗生物質を1週間服用します。その成功率は80~90%です。ピロリ菌除菌により、胃潰瘍や胃がんの発症を予防することが期待できます。
ピロリ菌検査には、血液検査・尿検査(ピロリ菌に対する抗体価を測定)、呼気検査(診断薬を服用し、服用前後の呼気を集めて診断)また、内視鏡を使う検査法があります。
胃潰瘍を繰り返す人や、いつも胃の具合が何となく悪い方、胃がん家系で心配な方は健診時にぜひ、ご相談ください。 |
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